発売されてからずっと気になっていたこの書籍をついに読みました。
感動さめやらぬうちに感想を書いていこうと思います。
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ボーイミーツガール / 人とモノとのあり方
本作でまず度肝を抜かれるのは内容以前に、そのボリューム。
なんと600ページを越えています。手に取らずとも一目瞭然で分厚すぎます。
また、時代背景や専門用語などは凝った部分もあり、流し読みでは理解しづらい部分も度々登場します。
下手なSF小説だったら、途中で読むのを諦めること間違いなしです。
しかし、なかだるみが全くなかったと言えば嘘になりますが、本作は飽きることなく最後まで読み通すことができます。
これは、600ページを越える本作のなかで、
- ボーイミーツガール
- 人とモノとのあり方
という二つの主題が、徹底されていたからでしょう。
途中で、違う方向に寄り道をしたり、箸休め的なシーンは一切入れず、徹底して主題を追求していく。
SFならではの設定や専門用語は、あくまでも装飾に過ぎず、伝えたい事は非常にシンプルでストイックです。
もはや物語の粗筋を書くことすら必要ではない気がしてきます。
内容を知りたい人はAmazonのレビューを読んでいただければ…!
それくらい、この主題に対するメッセージが強いです。
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アニメっぽいSF
そして、他の人のレビューを読むと”硬派なSFだった”という感想が目立つ気がしますが、私の感想は全くの逆です。
BEATLESSは”軟派なSF”だと思います。
いや、軟派という表現は悪いですね…
非常に読みやすいSFです。
少し穿った言い方をするのであれば”アニメっぽい”と言いましょうか。
表紙イラストが”redjuice”さん・装丁が”草野剛”さんという、アニメ界隈で評判高い人たちがビジュアル面を担当しているという先入観も多いに影響しているのかもしれませんが、このお二人が参加されたアニメ”ギルティクラウン”を彷彿とさせる内容でした。
そして、誤解しないでいただきたいのは”アニメっぽい”というのは決して悪口ではないということです。
私は”ギルティクラウン”が大好きです。
脚本以外は非常に素晴らしいアニメだと思っています。
このアニメっぽいと感じた理由は他にもあります。
“キャラクターが全面に押し出されている”点です。
先に書いた”主題を追求するため”には、登場人物に焦点を絞るというのは非常に重要で、そのおかげで本作を充分に楽しむことが出来たのですが、その他の設定については、凝っているにも関わらず、印象に残っていないというのが正直なところ。
この主題を伝えるためのストイックさと思い切りの良さは、個人的には非常にオススメすべきポイントですが、伊藤計劃さんや円城塔さんのようなSFを想像して本書を手に取ると肩すかしを喰らうかな…というのが正直な感想です。
個人的には、
- SFを読んだことのない人は、SFの入門書として
- SF好きな人は、世界観以上に、そのテーマに焦点を当てて
読むと楽しめるのではないかと思います。
読みやすく・親しみやすい内容で、ストイックに主題を追求していく。
軟派と硬派が絶妙に混ざり合った作品。
ぜひ手にとっていただきたいです。