妄想の産物!!ふじたの『ヲタクに恋は難しい』

ヲタクに恋は難しい (1)

一昔まえと比較して、オタク文化が一般化され、オタクであることに後ろ指差されない時代になってきました。
それに伴い、「げんしけん」や「となりの801ちゃん」などで描かれているようなコッテコテのオタク像も少しずつ変化し、徐々にオタクという人種に対する世間の印象も変わってきた感覚があります。
ふじたさんの『ヲタクに恋は難しい』は、そんな現代のオタクの恋愛を爽やか(?)に描いた作品です。

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オタクの生き様と恋愛

登場するのは二組のオタクカップル。

  • オタクがバレるせいでいつも彼氏に振られてしまう成海(なるみ)と宏嵩(ひろたか)
  • そして、その同僚の太郎と花子

この二組のカップルの社会人らしい恋愛模様がギャグっぽく描かれています。

この作品の特筆すべき部分は、登場人物が社会人だということ。
これは、自分が社会人の年齢だからシンパシーを感じるだけなのかもしれませんが、社会人のオタクらしいオタク描写が多い気がします。
もちろん、本質的な部分はどの歳のオタクでも変わらないと思いますが、シチュエーションはもちろんのこと、細部に渡って社会人オタクらしさがちりばめられています。
具体的な社内の様子や仕事をしている描写は少ないですが、仕事帰りの様子や飲んでいるときのテンション、仕事中のさぼり方などは社会人ならでは。
あと、オタク活動に関する金銭面でそこまで苦労していない感じとか(笑)
同僚という設定によるところも大きいのでしょうが、室内やデートなどで完結していたオタク系の漫画とはひと味違う印象を受けます。

ただ、恋愛面においてはあるあるネタではなく、少女漫画さながらのキラキラ感です。
また、タイトルの“恋は難しい”というを文言を表している描写はほとんどなく、とても順調な恋愛をしています。タイトルで購入を考えた人は少し他のレビューなどを読んでから判断した方がいいかもしれません…。

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妄想の産物

話の内容とは逸れますが、私がこの作品のなかでもうひとつ強く推したい点は作者のオタクっぽさがよい意味で全面に出ていること。
物語全体を通して、オタクを題材にした漫画にも関わらず登場人物にオタクっぽい外見の人が登場しません。
こんな美人やイケメンがオタクなハズがないじゃないか…!と思うほど、登場人物たちが美化されています。
そして、ガチオタという設定にも関わらず、オタク特有の気持ち悪い(褒め言葉)言動や行動が一切なく、どちらかといえばライトオタクみたいな爽やかな雰囲気を感じます。

また、題材にされるゲームや会話の内容もとてもライトで、「モンハン」や「ぷよぷよ」など、一般層にも有名なゲームが扱われ、オタクらしい会話も最近流行っているのネットスラングがメインになっています。

これらの軽さは、より多くの人が理解できるようにするために仕方のないことかもしれませんが、それこそガチオタと呼ばれる人が読むには物足りないかもしれません。
それに加え、シチュエーションや彼氏の描かれ方なども、オタク同士のリアルというよりは、オタクな女性の理想を描いたという印象が強いです。
主人公がわりと理不尽な性格をしていて、主人公の我がままに優しく付き合う仏のような彼氏という描写が随所で見られます。

このようなオタクに対する外見や内面の非現実感が肌に合わない人も多いと思います。
私もTwitterで流れてくる“今日こんなことがあった系のイラスト”で本人(と思わしき人)が美人に描かれているのを見ると、何とも言えない気持ちになる心の狭い人間です…

しかし、この作品を読んでも、そのようなネガティブな気持ちはあまり湧きませんでした。
これは内容が作者の自分語りではなく、完全なフィクションだからというのもありますが、オタクネタをしっかりとネタとして切り離したうえで、上に書いた恋愛的な描写も含め、作者の妄想や理想がこれでもかと詰め込まれている印象を受けたことが理由としては大きいのではないかと思います。
こんな傍若無人な私(主人公)でも、全てを受け入れてくれて、理解してくれて、こちらが引いてしまうほどのオタクではないイケメンの彼氏が欲しい!!
という気持ちが全面に出して、全く隠す気配がありません。
女性はこんな彼氏が、男性は本作の設定の性別を入れ替えた女性と付き合えたら最高ですよね!

そういう意味で、あくまでフィクションとしてのオタク漫画で、同じオタクとして親近感を抱くような読後感はありません。
しかし、親近感がないことで逆に楽しめるオタク漫画であることは間違いない思います。
タイトルからも分かるようにメインは恋愛ですしね。

発売当初から話題になっている本作、未読の人はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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