『健康で文化的な最低限度の生活』を知るために柏木ハルコさんの漫画を読む。

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

近年になり、たびたびメディアで話題にある”生活保護問題”。

  • 生活保護を受ける必要のある人が受けられず、本来は必要のない人間が受けている
  • 職員の対応が冷たかった
  • 生活保護は甘え

そんな様々な意見を耳にし生活保護について朧げに理解している人も多いと思いますが、そこで働く人たちについてご存知の人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

柏木ハルコさんの新作は、そんな”福祉事務所のケースワーカー”を描いた漫画です。

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新人ケースワーカーたち

物語は、新米公務員”義経えみる”が福祉事務所にケースワーカーとして配属されるとこになったところから始まります。
かなり抜けている主人公が、生活保護を必要としている人たちと不器用ながらも向き合い、成長していく。
一巻の段階では、明確な成長というものはまだ描かれていませんが、きっとそういう話だと思います。

主人公は、ケースワーカーという仕事・受給者に対してとてもフラットに考えています。
これは、主人公のキャラクターによるところも大きいのかもしれませんが、自分の考えが希薄な分、見たものを見たままに受け止め、その問題に対して真摯に向き合おうとしています。

その一方で、主人公意外の登場人物は自分の仕事や受給者に対して自分の考えを持っています。

  • 本当に生活が困難な人と毎日向き合う労力から作業的に対応をする先輩
  • 受給者のことが理解できないゆえに書類通りに処理をする同期
  • 生活保護は甘えだと考える同期

少し考えれば当たり前なのですが、公務員といえども人間で、様々な考え方を持った人がいるということに気付かされます。

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フラットな視点で楽しみたい

とても興味深いテーマを扱っているうえに、生活保護やケースワーカーについてしっかりとした下調べや取材をしたであろうことをビシビシと感じさせてくれる本作ですが、一巻では”生活保護の良い部分のみを切り取っている”という印象を受けました。
ここでいう”良い部分”というのはケースワーカーの苦悩・受給者の苦悩という心に響くドラマチックな部分という意味です。

たしかに、ニュースにとりあげられるような”年金の不正受給”というのは、漫画にするとずいぶんと味気なく面白くないテーマだと思います。
受給する人も悪ければ、許可してしまう方も悪い、気分が悪くなる話になると思います。
それに比べ、この巻で取り上げられているような”受給者には実はこんな苦労があって、みんなが思っているような悪人や甘えた人ばかりではないんだよ…”
という方が、話が盛り上がることは間違いないでしょう。
今巻に関しては、導入編ということもあり、ある意味でキャッチーな題材を入れこんだのかもしれません。

しかし、現在の生活保護の話題と切っても切れない”不正受給問題”や、読んで胸くそ悪くなるな話もそのうち読めることをつい期待してしまいます。
扱ったらと素敵・扱わないから駄目という話ではなく、この漫画を描くにあたって相当に踏み込んだであろう作者が描く生活保護問題の汚い部分というものをぜひとも読んでみたいのです。

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