幽麗塔を読みました。
乃木坂太郎さんといえば「医龍」で有名な漫画家さんですね。
タイトルからお気づきの人もいらっしゃるとは思いますが、今作は幽霊塔がモチーフだそうです。
もともとは海外の作品で、日本では江戸川乱歩が翻訳したものが有名みたいです。
不勉強で原作の方は読んでいないのですが、タイトルも変更しているのでかなり手を加えているのかもしれません。
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予想以上
「医龍」の漫画家さんが描くホラー・サスペンスということで、期待半分・不安半分で読んだのですが、
予想以上に良かったです。
原作が好きな方には不満が色々あるのかもしれないですが、
原作を知らない方はきっと楽しめると思います。
正直、この手の原作付きのサスペンス・ホラーものを漫画で読むのはあまり好きではなかったのですが、
いい意味で期待を裏切られました。
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美しい残酷描写
第一に絵が素敵です。
及木さんの絵の上手さについては「医龍」でご存知の方も多いかと思いますが、
今回のジャンルにもすごく合っていると思います。
自分がそう感じたのは、不気味な描写についてで、
この漫画には若干(もしかしたら結構)グロテスクな描写や残酷な描写があるのですが、
ただグロテスクなだけではなく、不思議な魅力があります。
1巻で出てくる猟奇殺人現場や全体を通して出てくる殺人の場面、
顔を隠している登場人物(二巻の看護師)の素顔、
そして、時計塔に隠れている謎の人物など。
これらの描写がすごい。
本当に怖いし、不安な気持ちにさせられる。
逆に言えば、残酷描写やちょっとグロテスクな描写が苦手な方は読まないほうがいいかもしれません。
手に汗握る展開と見せ方
そして、見せ方がうまい。
三巻の後半はまさに、「手に汗握る」という表現がしっくりきます。
コマ割りや動きなどでキャラを立たせながらもしっかりと内容が伝わってきます。
特に無音シーンやアクションシーンの緊張感は半端ないです。
この辺りの描写・見せ方が期待していたものと全く違い、がっかりしてしまうホラー・ミステリ漫画は結構多いのですが、
この漫画は期待値を遥かに越えていました。
総じて…
お勧めです。
話全体の進行も、非常にテンポがよく、読みやすいです。
漫画自体にミステリ要素は含まれているのですが、
この手の漫画にありがちな冗長な推理部分や、説明が多くて読みづらいなどといった不快感は一切ないです。
その分、謎解き要素はあまりないですが、純粋に漫画として面白いです。
自分が読んだこれ系の漫画のなかでは一番なのではないかと思います。
最近発売された三巻で、物語は一つの大きな区切りを迎えてます。
しかし、まだ物語の根幹にある謎は解かれていないままなので、今後が非常に気になる漫画です。
興味はあるが未だ読んでいない方は、いまが読み時だと思います。