アルコール依存症の入門書!まんしゅうきつこの『アル中ワンダーランド』

アル中ワンダーランド

昔から、お酒をテーマにした漫画は数多くあったものの、最近の食べ歩き系グルメ漫画のブームと共に、「ワカコ酒」や「のみじょし」のように気軽にお酒を楽しむ漫画が増えてきた気がします。
その一方で、「失踪日記」や、その続編である「失踪日記2 アル中病棟」などアルコールの闇の部分を描いた漫画というのも一定の人気を博しています。
今回ご紹介するまんしゅうきつこさんの『アル中ワンダーランド』は、タイトルからも分かるように完全に後者。アルコールの闇の部分について描かれた作品です。

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重めの内容

本作をざっくりと説明するとアルコール依存症の作者による失敗談が延々と描かれている漫画です。
このように一言で説明してしまうといたってシンプルなのですが、実際は作者の“まんしゅうきつこ”という名前からもお察しの通り、ぶっ飛んでいます

皆さんは、アルコール依存症という病気にどのような印象を持っていますか?
私が今まで読んでいた漫画などで登場するアルコール依存症のキャラクターは、暴力的でお金を無心するような典型的なダメ人間という描かれ方をする場合が多かった記憶があります。

しかし、この漫画で描かれるアルコール依存症はひと味違います。
作品がエッセイだということが大きな理由なのでしょうが、普段読むフィクションの漫画に登場する、ある種記号化されたアルコール依存の人たちと比べて、もっと生活に根付いたダメさや、内面的にぶっ飛んでる様子が目立ちます。

もちろん、他者に迷惑もかけている描写も多々あるのですが、作者のもともとの性格的なものもあるのでしょうが、暴力を振るうわけでも罪を犯すわけでもありません。

どちらかといえば、恥を晒してしまう系の失敗が多いです。
これは、誰もが一度はお酒を飲み過ぎたときの失敗談が日常的に続いている感じなので、そこまで大きなインパクトはないです。
もちろん、お酒による失態が日常的に続いているのは十分ヤバいですし、本人としては笑い話ではないのでしょうが、あくまでネタとしての体験談という印象。

それよりも遥かに恐ろしかったのは、一人でいるときの日常シーン…
幻聴や幻覚のオンパレード。
このような症状は薬物でしか現れないものだと思っていたので驚きです。
外から見ている分には、まったく分からないし、理解が出来ない狂気…
このような内面的な症状は、作者自身を主人公にしたからこそ描ける描写だと思います。

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軽めの読後感

上記のように、内容自体は基本的には笑えないものばかり…。
しかし、本作を読み終わった後に暗い気持ちになることはありません。

これは、作品の最後がアルコール依存症から抜け出すというハッピーエンドだからというのもあるでしょうが、それ以上にまんしゅうきつこさんの絵柄によるところが大きいと思います。
荒々しいギャグっぽい絵柄によって全体の雰囲気がマイルドになっていて、内容がヘビーでも、どこかコミカルで取っ付きやすくなっています。

しかし、コミカルになった分だけ、アルコール依存症の本当の恐ろしさは良くも悪くも伝わりづらくなっていると思います。
また、内容自体も冒頭に挙げた「失踪日記」や「失踪日記2 アル中病棟」と比べると非常にマイルドで、内容も薄いという他の人のレビューも見かけました。

私は、アルコール依存症に関する漫画を読むのは本作が初めてなので、内容の濃さの比較はできません。
しかし、私のような何となく興味を惹かれて気軽な気持ちで手に取った人にはちょうど良いくらいの重くない読後感でした。
そういった意味では、今までその手の漫画に触れてこなかった人の入門書的な位置づけでオススメできる一冊だと思います。

補足ですが、表紙のイラストと中身の絵柄がびっくりするくらい違うので、表紙に一目惚れして購入を考えている人は購入する前に中身を確認した方が良いかもしれません…

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関東でデザイナーをしています。 サイト制作・装丁等のご依頼等ございましたらお気軽にご連絡ください。   Site:akanesus.com   Twitter:TakemitsuaN