『闇金ウシジマくん』という漫画をご存知でしょうか?
山田孝之主演でのドラマ化・映画化、メディアでも大々的に取り上げられていたため、どんな作品かは知らなくとも名前くらいは聞いたことがある人が大半だと思います。
そして、作品に触れたことがない人でも、CMや広告から何となく暴力描写が多そうな作品だということが容易の想像できるでしょう。
闇金で働く裏家業の人たちを描いた作品なので、その直感は間違いではないです。闇金とそれを取り巻く人たち、そして闇金からお金を借りる人たちの話が明るくてハッピーなはずがありません。
個人的には「ニギニギ」という効果音で街の喧噪を表現する非常にユニークな漫画だと思うのですが……
さて、前置きが長くなってしまいました。
今回紹介する『やみきんっ♥︎うしじまきゅん』は、そんな闇社会を描いた漫画『闇金ウシジマくん』を可愛くして四コマにしてしまった作品です。
本編がいよいよクライマックスに差し掛かっているのではないかと思うほど盛り上がっているこの時期にまさかの四コマ化……!
驚きと期待が隠せません!
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ラブリー&ポップ
と、下のあらすじに書いてありました。
あの“ウシジマくん”が3頭身キャラに!?
コミックス、映像作品も大ヒット中ブラック&バイオレンス人間ドラマの金字塔『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平著)が、まさかの3等身ラブリーキャラに!?
丑嶋社長をはじめとした、最強で最恐のアウトロー金貸し闇金“カウカウファイナンス”。
彼らの日常を、まさかのラブリー&ポップ…だけどちょっぴりブラックに描いた4コマ漫画!!
ニュー・リボーン・ウシジマの世界へようこそ!!
表紙からも分かるように、たしかにキャラクターはラブリーですね。
本編のあの厳つい雰囲気とは真逆です。
あとは顔についている返り血さえなければ……
表紙の丑嶋社長以外のキャラクターもコミカルに変身していて、本編(『闇金ウシジマくん』)をベースに、登場人物たちのゆるやかな日常がコミカルに描かれています。
本編で取り上げられているようなシリアスなシーンは一切なし。
各派閥の勢力関係や、似たようなキャラクターに頭がこんがらがることもありません。
そんなストレートで分かりやすい四コマ漫画でも、相変わらずバイオレンスなシーンが登場します……
せっかくキャラクターは可愛くなったのに、ほのぼの日常生活だけではなく、本編における日常生活までしっかり取り入れてくる、恐ろしい漫画です。
しかし、イラストの力とは偉大なもの。
バイオレンス描写もポップなキャラクターたちのおかげで全く怖くありません。
本編が怖くて手にとれなった人でも安心して楽しめるようになっています。
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このシリーズだからできること
とはいえ、やはりこの作品は本編を楽しんでいる人たちに向けてのものなのでしょう。
もともとのキャラクターを理解している人たちは思わずニヤッとしてしまう描写が満載です。
そして、この作品で一番魅力的なのは各キャラクターが掘り下げられていること。
この四コマは、キャラクターの描写がデフォルメされたのと一緒に、キャラクターの特徴もデフォルメされています。
そして、そのデフォルメ特徴を全面に押し出した描き方になっているため、本作ではあまり理解が出来なかった登場人物たちの特徴を分かりやすく理解できます。
本編では登場人物の内面に触れるような描写が少ないため、カウカウファイナンスのメンバーですら何となくでしか人となりを把握していなかった人も多いかったのではないでしょうか。
もちろん、四コマという作風に合わせて面白おかしく脚色している部分は多いにあるのでしょうが、この作品を通して登場人物についての理解を深めることで本編である『闇金ウシジマくん』をより一層楽しめると思います。
また、本作を読んでから初めて『闇金ウシジマくん』を読む人も、全くの初見で読み始める場合よりは、ほんの少しだけ穏やかな気持ちで本編を楽しめる気がします……多分。。。