発売と同時に各所で取り上げられている、永田カビさんの『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』。
色々なメディア記事で題名だけは見かけていながらも、記事自体については読むことはなく、なんだか流行っているらしい…くらいの認識でした。
というのも、百合ブームに乗っかったサブカル女子の風俗体験を面白くレポした漫画だという先入観があったから。
可愛いゴシック体のタイトルとピンク色の表紙。
帯に書いてある心を開くって、どうするんだっけ…という病んでる感じの煽り文。
こんな先入観を持ってしまっても誰も私を責められないはずです……
こんなに沢山の人が取り上げているのだから面白いのだろう。
でもブームに乗っかって読むのはミーハーサブカルっぽくて恥ずかしいからやめておこう……
それくらいのひねくれた気持ちでいました。
しかし先週の土曜。
出先で時間が空いてしまったため、Kindleで買ってしまいました。
サブカル系の軽い気持ちで読める漫画だろうと。
時間つぶしくらいの感覚でちょうど良い作品だろうと。
ポップな表紙にだまされた……
軽い気持ちで読める作品ではありませんでした……
ひとつ弁解しておきたいのは、面白くなかったわけでは決してないです。
むしろ自分が思っていたより何倍も読み応えがありました。
軽い気持ちで読み始めてしまわなければ、間違いなくオススメの一冊です。
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あらすじ
はじめに明言しておきたいのは期待した風俗体験レポではないということ。
面白可笑しくレズビアン風俗での体験や豆知識が分かると思ったら大火傷します。
この作品は、作者の永田カビさんが大学中退からの鬱や摂食障害を乗り越え(?)少し前向きになるエッセイ漫画です。
「心を開くって、どうするんだっけ…」
28歳、性的経験なし。生きづらい人生の転機。
pixiv閲覧数480万超の話題作、
全頁改稿・描き下ろしで書籍化。高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。
そんな自分を解き放つために選んだ手段が、
「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった──
自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。
あらすじからも分かるように扱っているのは重い内容。
鬱・摂食障害・親への屈折した気持ち・性へのタブー視など……
よくここまで重なったなと思うほどの負の要素たち。
表紙と同様のライトな絵柄が、より一層内容をヘビーに感じさせます。
しかし、最後は割とポジティブな気持ちで読み終われるのがこの作品の良いところ。
自分と向き合うことで一念発起し、レズビアン風俗に行くために奮闘する様子からはじまり、実際に実際に風俗を体験すること・したことでの気付きでポジティブに閉められています。
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さびしさを感じる人たちは読むべき
上で前向きになると書いておいて何なんですが、本作は永田カビさんがすごくマイナスの状態から少しフラットな状態に近づいくまでを描いた作品だというのが正しい表現の仕方なのでしょう。
表題であるレズ風俗にいった際にも、劇的な変化(性的な意味で)があった訳ではありませんでした。
読む人は選ぶでしょうし、賛否両論ある作品だとは思います。
私自身、100%共感できたといったら嘘になります。
しかし、作者の心の根底にある、言い表せないような閉塞感やさびしさは、誰しもが過去に感じたことがある・そして今でもたまに感じる人も多いはず……
そういう人たちにとって、この作品は間違いなく響くと思います。
そして、作中で永田カビさんが得た気付きは、多くの人にとってすでに当たり前になっている(そして忘れがちな)ものですが、その当たり前のことを改めて気付かせてくれる、とても素敵な作品でした。
気になってはいるものの、まだ手に取っていない人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。