亡き妻の妹との再会、姉と弟の儚くて危うい関係、身分違いゆえの片思い、教師と生徒の秘密の恋。
日本の地方の風景と、その地で生きる人々の“禁断の恋”を繊細に描き出す連作短編集。
表題作ほか「忘月夏」「鬼火の夜」を収録。
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はじめに
前回の記事から、私の数少ない漫画が好きな友人である水上がこのブログに参加しました。
どれくらい飽きずに更新してくれるかは分かりませんが、よろしくお願いします。
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アオハルコミックス
アオハルコミックスから単行本第2陣が発売されましたね。
今回も豪華なラインナップでした。
そんななかで、今回は、TNSKさんの”昇る朝日にくちづけを”について感想を書いていこうと思います。
TNSKさん。
同人界隈で活動していらっしゃる方なら、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
サークル”壁の彩度”でイラストや漫画を描かれている方です。
先日おこなわれたコミックマーケットでも、ものすごい行列ができていました。
そんなTNSKさんの新刊。これはもう読むしかない。
ノスタルジックな田舎
あらすじにも書かれているように、今回の主題は”地方でおこる禁断の愛”。
いやはや、そそられますね。
田舎ならではの風習や祭事などといったテーマはPCゲームやアニメなどで扱われることが多いイメージがあります。
有名どころだと”ひぐらしのなく頃に”などがまっさきに思い浮かぶのではないでしょうか。
今作は、それぞれの話の要素として、”祭り・伝統工芸・漁”などがピックアップされており、まさに田舎ならではといった様子。
特に冒頭の短編である”忘月草”は、都会とは違う田舎独特の祭りの文化が描かれていてとても興味深かったです。
もっとも、私はこのような独特な祭りのある田舎に住んでいたことがないので、あくまで”田舎の祭りのイメージ”というだけなのですが…
実際に、”田舎に住んでいない人にとっての田舎のイメージ”というのを落とし込むとこのような感じになるのではないか…というほど、田舎ならではのノスタルジックな雰囲気を味わうことができます。
良くも悪くも…
上で”ノスタルジックな田舎の雰囲気”と書きましたが、
そのほかの部分も、雰囲気漫画だと思います。
それも中二病患者の心を鷲掴みするタイプの雰囲気漫画です。
この漫画が持っている”田舎・禁忌・恋愛・トラウマ”という記号が並べば、それだけでグッとくるものがありますが、
それに加えて、単館シネマ系の映画で使われそうな格好良い台詞が、惜しみなく使われています。
私は中二病を患ったままここまできてしまった人間なので、見事なまでに心を鷲掴まれたのですが、
逆に、めでたく中二病から卒業された人や、そもそも中二病を患っていない人にとって、”少しサムい”のではないかなというのが正直な感想です。
とても悪い言い方をすれば、
“この描写が描きたかったんだろうな…”
“この台詞を言わせたかったんだろうな…”
というのがビンビンと伝わってくる感じです。
たとえばCMなどで、”このシーンを抜き取れば絶対に心惹かれる、読みたくなる”というシーン(この場合はコマ)が数多く見受けられます。
そして、逆に、それ以外のシーンはあくまで繋ぎ的な印象です…
この漫画を読み終わったあとで、記憶に残っていたシーンは数多くあったのですが、物語全体としてはほとんど記憶に残っていなかった…というのが正直なところ。
評価がはっきりと分かれそうな漫画ですが、田舎文化や単館シネマ系の映画が好きな人は手に取って損はない漫画だと思います。