聲の形(7)(講談社コミックス)

青春漫画として、大今良時の『聲の形』

とても久しぶりの更新になります。こんばんは。

前回の水上のエントリで”このマンガがすごい2015″について触れられていたので、流れに乗ってオトコ編の第1位に輝いた『聲の形』について書いていけたらなと思います。

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売れるべくして売れた漫画

この漫画は売れるべきして売れた漫画だと思います。
そして、ある種のタブーに触れたからこそ売れた漫画だと思います。

なぜなら、ヒロインは”聴覚の障害を持った女の子”だからです。
このこと(障害をもった女の子を登場させること)をタブーとしてしまうこと反論がある人も沢山いらっしゃるとは思いますが、ひとまず目をつぶっていただければと思います。
私自身もこれ自体をタブーだとは思っていませんし、そのような障害を持ったキャラクターを主人公・登場人物に置いた作品は探せば他にもあると思います。
それ以上に、この作品を少年誌と呼ばれる『週刊少年マガジン』で連載したことが、ある種のタブーを犯したのではないかと…

これは『僕は妹に恋をする』を読んだときに抱いた感想に似ています。
“読者層の年齢が低い雑誌にヘビーなものをぶち込んできた!!”という衝撃です。

そして、タブーとは別の話ですが、少し前に流行った”病気で余命幾ばくもないヒロインが登場する映画”が乱発したときの気持ちにも似ています。
“てっとり早く泣かせにきやがった!!”という衝撃です。

登場人物の年齢が小〜高校生だということもあり、設定としてはドンピシャですし、その年代に向けてのある種の啓蒙的な側面もあったのでしょうが、それならば作品の終わらせ方についてはもう少しあったのではないかと思ってしまいます(詳しくは後述)。

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分かりやすい青春活劇

さて、最終巻まで読んだ感想ですが、青春漫画として素敵です。
いじめられて心を閉ざした主人公が仲間と出会い、ぶつかり合い、くじけそうになりながらも成長し、人と向き合えるようになる、そんな青春の一ページ。

最終巻を読み終わり、爽やかな青春の匂いを感じつつも暖かい気持ちで本を閉じたのですが、ふと冷静になったときに消化不良な点が出てきました。

ヒロインの耳が聞こえない設定はどこにいったのか……?

もちろん、作中で当たり前のように耳が聞こえるようになったり、設定自体が忘れ去られていたわけでは決してないのですが、終わらせ方があまりにもおざなりだったのではないかと……

最終巻では、主人公の成長があまりにも重視されすぎていたせいで、ヒロイン側のテーマが置き去りになった印象を受けてしまったのが正直なところ。
少年誌で障害というテーマを扱うのであれば、そちらをもっと掘り下げて欲しかったです……

上での”タブーに触れた”という悪意のあるような書き出しや、それ以降もあまりポジティブなことを書けなかったことも、原因はここにあるのかなと思います。
単純な記号として聴覚の障害を入れたようにしか感じられなかったのが非常に残念でした。

いまは、最終巻を読んだばかりの勢いだけで書いてしまっていますが、過去の記憶が飛んでいるところ・読み込み不足の可能性も多いにあるので、少し時間をおいて改めて全巻通して読み直してみようと思います。
その際に、感想が180度変わっていたらどうか笑ってください。

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デザイナーをしています。ジャンル関係なく気になった漫画を読んでいます。オススメの漫画を教えてください。 Twitter:@TakemitsuaN