さて、久しぶりの百合漫画です。
Amazonでお目当ての漫画を探していたらオススメに出てきた本作。
どこの百合雑誌に連載されているのかと思い調べてみたら、なんと電撃大王でした。
電撃大王が百合……!レビューもポジティブなものが多いし、これは読んでみるしかない!!
ということで期待を胸に購入してみたのですが、これがなかなかの曲者でした。
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正統派百合
設定はまさに王道ど真ん中。
高校に入ったばかりの小糸侑は、中学卒業の時に仲の良い男子に告白された返事をできずにいた
そんな折に出会った生徒会役員の七海燈子は、誰に告白されても相手のことを好きになれないという。
燈子に共感を覚えた侑は自分の悩みを打ち明けるが……。
電撃コミック大賞金賞作家が描く、ガールズラブストーリー。
どことなく『マリア様が見てる』の雰囲気を彷彿とさせる学園に入学した主人公の小糸侑。
入りたい部活もなかったため、教師に進められるがままに生徒会に入ります。
そこで、学園の憧れの的である才色兼備の先輩・七海燈子と出会い……
ここまで、書いておいてなんですが本当に王道ですね。
マリ見てが好きな人なら設定だけでとグッとくること間違いなしです。
そして絵が奇麗!表紙の雰囲気そのままです!
青年誌に連載されているだけあって、男性好みの絵面です。
百合漫画は少女漫画タッチの作品や少しエロい絵柄が多いので、ここまでサッパリした奇麗な絵は珍しいですね。
そんな設定自体は王道な本作。
本筋である百合要素も王道だろうと思い読み進めていったのですが、良い意味で予想を大きく裏切られました。
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好きになるとは
この作品で扱われている一番大きなテーマは人を好きになること。
そう、侑は今までに人を好きになったことがないのです。
百合漫画にありがちな、“女性を意識したことがなかった主人公”の斜め上です……!
第一話の王道的な設定から、物語自体も“憧れの先輩を好きになる”という王道の展開で進んでいくと思い込んでいたためこれには驚きを隠せませんでした。
もちろん、既存の百合漫画にも“人を好きなったことがない主人公”というテーマを扱った作品はありました。
しかし、自分が読んだそれらのテーマを扱った作品の大半は短編だった気がします。
今まで人を好きになったことのない人間が、僅か数十ページのなかで恋をしても……
内容自体は面白かったのですが、そう思わなかったと言えば嘘になります。
しかし、この漫画は長編です。続刊があります。
今巻では、二人の出会いから先輩と後輩して仲良くなっていくさま、そして侑が他人を好きになったことがないという流れが丁寧に描かれています。
最終的には燈子と幸せになる終わりが予想できようと、重要なのはその過程。
突発的に“なぜか惹かれる”という展開より、何倍も共感できることは間違いありません。
次巻から、侑が燈子を惹かれていく道筋が丁寧に描かれ、そして充分に伝わってくることを期待せずにはいられません。