ワールドゲイズ クリップス (1) (カドカワコミックス・エース)

五十嵐藍『ワールドゲイズ クリップス』

五十嵐藍さんの新刊。
前回の短篇集『ローファイ・アフタースクール 』がすごく好みだったので今巻も楽しみでした。

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内容紹介

放課後ロスト

女の子二人の話。
ぼっちな委員長と自由な同級生が、CDを探す家出をします。
途中の不思議な描写や淡々と会話が進む感じがなんともB級感。
最終的に友達にもならないという潔よさが素敵でした。

ウォーキング ウィズ ア フレンド

カラスの死体を埋めにいく、高校を卒業することにむなしさを感じる女の子と、彼女に振られた同級生の男の子の話。
淡々とゆるい感じです。
男女の微妙な関係が、すごく良い雰囲気を醸し出しています。

緑雨

幼い頃の思い出に似た女の子を見つけて、のめり込んでいく男の子の話。
自分を好いてくれる同級生がいるにも関わらず、思い出の女の子に似たミステリアスな女性の元に向かうものの、
思い出の女の子と、現実の女の子のギャップに苦しんで…
まさかのホラー展開でした。
個人的にはこの話が一番好きです。
ミステリアスに描かれている女の子が、メイクやらコンビニパスタを食べているというのが珍しかった気がします。
基本的にそういう日常の雰囲気がしすぎる描写があるミステリアスなキャラクターは少ない息がします。
そして、関係無いですが金魚がテーマ(?)になっています。
ところで金魚っていいですよね。他の熱帯魚とは違うベクトルの素晴らしさがあると思うんです。

blue imaginary birds

幸せの青い鳥を探しにいく女の子の話。
短めの話です。

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単館シネマ

前回と同様、今回も単館シネマ系の映画を彷彿とさせてくれる漫画でした。
前回は短篇集だったこともあり、各話が短めだったためインパクトが強い反面、もう少し雰囲気を楽しみたかった部分もありましが、今回はひとつひとつの作品が長めだということもあり、とても作りこまれている気がします。
山なしオチなしで淡々と進んでいく感じですが、読後は妙にすっきりとした晴れやかな気持ちになりました。

雰囲気重視の漫画なので文章にして伝えるのが難しいのですが、
鬱屈した雰囲気のなかにある、絶妙な空気感があります。
正直な所、分かりやすく感動する展開や、熱い流れを楽しみたい方にはお勧めできませんが、
日本の単館シネマ系の映画(特に2000年前半くらいの)がお好きな方は絶対に楽しめると思います。
そういえば最近は、こんな雰囲気の映画が少なくなってきた気がします。切ないです。

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デザイナーをしています。ジャンル関係なく気になった漫画を読んでいます。オススメの漫画を教えてください。 Twitter:@TakemitsuaN