まじめなストーリーとツンデレのおっさん、沙村広明の『春風のスネグラチカ』

春風のスネグラチカ (F COMICS)

車椅子の少女と物言わぬ従者。 互いの他に、信じるものなどない二人。
◆極寒のロシアを舞台に沙村広明が描く、戦慄の歴史ロマン。
◆1933年、ソビエト連邦カレリア自治共和国。とある別荘(ダーチャ)の管理人であるイリヤ・エヴゲーニヴィチ・ブイコフは、車椅子の少女・ビエールカと物言わぬ従者・シシェノークに出会い、奇妙な賭を申し込まれる。なぜ彼らはこの地を訪れたのか、どこからやってきたのか。そして互いだけを頼りに生きる二人が背負う、密かな宿命とは――。
とある名家にまつわる、喪失と奪還の物語。

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歴史の知識がなくても面白い

1933年のソビエト連邦カレリア自治共和国を題材にした漫画です。
お恥ずかしい話ですが、私はロシア(作中ではソビエト)についてサッパリ知識がありません。
大学受験時に世界史で学んだことが、自分の持ちうる全力の知識なのですが、それも今となっては記憶の彼方、ほぼほぼ覚えていません。

したがって、この漫画を手に取るときに若干ためらいました。
“この漫画を読んで本当に楽しめるのか…”

しかし、この漫画を読み進めてみると、先ほどの心配は全くの杞憂でした。
とても面白かったです。

歴史的背景をご存知の人の方が楽しめるのは間違いないとは思うのですが、歴史的背景をご存じない人もフィクションとして充分に楽しむことが出来るほど、作り込まれた漫画です。

読み進めるごとにその魅力に引き込まれていく、謎の多い二人の主人公。
二人の目的は何なのか。この二人はいったい何者なのか。

この疑問を解決するためにちりばめられた伏線が、物語が終わりに向かうにしたがって次々と回収されていくさまは秀逸の一言に尽きます。

そして、”義足の美女と従者”や”貴族”や”おっさん(後述)”などマニア垂涎の登場人物が満載なところも非常に良い。萌ゆる。
今作に沙村広明さん特有のギャグ要素はありませんが、キャラクターは沙村広明さんならでは。史実の人物であるにも関わらず個性豊かでとても魅力的です。

また、立ち位置がいまいち分からなかった登場人物についても、”読み終わった人のための登場人物紹介”で詳しく説明されています。これは非常にありがたかった。
これを読み終わった後に再び本編を読み直すと、また違った発見があるのではないでしょうか。

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ツンデレおやじ萌え漫画

上でも述べたように、ロシア(ソビエト)の歴史について、何も知らない私ですが、これだけはハッキリと言えます。
この漫画はツンデレのオヤジに萌え”漫画です。

この漫画に登場する”ミハルコフ”という人物。完全なサブキャラクターですが、これが非常に萌える。
それもそのはず、完全なツンデレキャラです。ハゲたおっさんですけど。

登場してまもなく、両足のない主人公の娘を役立たずの罵り、夜の相手をさせたりする様子ははまさに鬼畜の所行。
ハゲたおっさんの性に対する嫌悪感を抱く人もいらっしゃることでしょう。

しかし、このおっさん

  • 何者かと内通している主人公たちに銃を突きつけておきながら、上官には報告をしていなかったり、
  • 自分が処刑されそうになる前日に、主人公たちにクビを言い渡して逃がそうとしたり、
  • 主人公たちの探し物に対する自身の考察を手紙にしたため、主人公の義足のなかに隠したり、


……
ツンデレ以外の何者でもないじゃないですか!!

“かっこいいオヤジ”が登場する作品は、漫画・小説問わず数多く目にしますが、シリアスな作品のなかで”萌えるツンデレなオヤジ”が登場する作品はめったにありません。

この漫画のあらすじを読んでもまったく興味をもたれなかった人も、興味が湧いてきたのではないでしょうか。

作り込まれたストーリーだけでなく、ツンデレのおっさんまで楽しめる本作、おすすめです。

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1巻完結の漫画を集めました。

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