暖かさと焦燥感を、池辺葵の『プリンセスメゾン』

プリンセスメゾン 1 (ビッグコミックス)

誰もが一度は憧れる「持ち家」。
一昔前は一軒家に憧れる人が多かった印象がありますが、最近ではマンションを買いたいという声も多いみたいですね。
また、モチイエ女子というサイトがあることからも察するに、家族暮らしだけではなく、働く独身女性の間にも持ち家ブームらしきものがあるようです。
作者は映画化もされた『繕い裁つ人』で有名な池辺葵さん。
もともと、ウェブコミック『やわらかスピリッツ』で話を追ってはいたのですが、初めて読んだときに感じた”えも言われぬ気持ち”をもう一度味わうべく手に取りました。

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持ち家女子

主人公は持ち家に憧れる女性。
足しげくモデルルームの見学会に通い、持ち家を夢みてお金を貯めるべく労働に勤しんでいます。
この作品は、そんな主人公と、モデルルームの職員、そして主人公とは直接関係のない登場人物たちによる家を中心とした群像劇です。
それぞれの登場人物に共通しているのは独り身だということ。
家族の象徴として用いられることの多い『家』という題材が、一人のための家という視点で描かれています。

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穏やかなのに胸をえぐられる

主人公をはじめ、登場する人たちは良い人ばかり。
読んでいて深いに思うキャラクターは登場しません。
池辺葵さんの可愛らしい絵柄と合わせてほのぼのとした雰囲気になっています。
全体を通して、このような穏やかなストーリーにいて、読後感も心が温かくなること間違いなしなのですが、それと同時に、どうしようもない焦燥感にも駆られます。
それは”どの登場人物も充分に幸せではない”ということに起因するのではないかと思います。
主人公も収入的には恵まれていませんし、他の登場人物も何かしら悩みやネガティブな感情があります。

そして、それは持ち家を持っている人物も同じです。
主人公が憧れるような持ち家に住んでいる人間が必ずしも幸せではないという事実…

悪い意味で、”人生の幸せはひとつではない”という言葉が頭をよぎります。
冒頭で書いた”えもいわれぬ気持ち”というのはこのことで、漠然とした不安から全く眠られない夜を彷彿とさせられます。

そんな暖かさと不安を同時に感じることの出来る本作、おすすめです。

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1巻完結の漫画を集めました。

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