目に見えぬ恐怖を描写した、田辺剛の『魔犬 ラヴクラフト傑作集』 

魔犬 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)

日本の歴史や有名な小説から経済学の書籍まで、有名な原作をコミカライズした作品は数多く販売されていまが、作品の概要を知る以上に得るものがある漫画とはなかなか出会うことができません。
しかし、この『魔犬』は漫画としてしっかりと楽しめる作品になっていること間違いなしです。

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ラヴクラフトのコミカライズ

上にも書いたように、この漫画はラヴクラフトの小説をコミカライズしたものです。
原作は小説ということもあり、それを漫画として絵で表現するとなると、どうしても齟齬が生じてしまう気がします。

小説を読んだときに自分が思い描いていた想像と全く違う物が出てきた…
ということはよくあること。

特に異形のものを扱った原作であった場合、漫画でのあまりの迫力のなさに、ガッカリしてしまう経験をした人は少なくないと思います。

今作も、人間の根源的な恐怖を煽るために人知を超えたモノが各話に登場します。
原作を読まれた人は、文章で描かれるこれらの異型・異界に空想を膨らませたことでしょう。

しかし、恐怖心を煽るという意味では、この漫画も原作に負けてはいません。
黒を基調とした暗い雰囲気で不安な気持ちにさせ、物語の一番大切なところで登場する大迫力の怪物たち。
ひとえに田辺剛さんの描写力が成せる技です。
ここまで迫力のある恐ろしい怪物たちは、原作を読んだ人でも想像し得なかったのではないかと思います。

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大迫力

先ほどから繰り返しつかっている単語ではありますが、全体を通して、まさに大迫力という表現がしっくりくるような作品です。
書き込まれた背景・どことなく劇画っぽい人物・余分な説明を省いた構成。
書き込まれている線は多いものの、決して複雑になりすぎることはなく、とても読みやすく作品に引き込まれていきます。
原作の雰囲気をしっかりと出しつつも、原作は未読で漫画なら読もうかなという人間もしっかりと楽しめるような作りになっていました。
この手の原作のある作品で、原作の概要を知る以上に漫画として楽しめたのは初めてな気がします。
あとがきにある”彼が作り出した神々の、神使になったつもりで、これらの作品を描きました”という言葉にも頷けます。
原作を読む元気はないけど、漫画でなら読んでみたいという人にはもちろん、原作に興味がない人にもおすすめしたい一冊です。

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