キョウダイのあり方について、磯谷友紀の『恋と病熱』

恋と病熱 (A.L.C.DXもっと!)

一人っ子が憧れる”キョウダイ”という存在。
仲が良かろうが悪かろうが、血がつながっている以上、余程のことがない限り縁が切れることはない。

タイトルと表紙の雰囲気から”恋愛漫画だろう”と想像して購入したのですが、見事に予想を裏切られました。

そうです。
『恋と病熱』はそんなキョウダイをテーマにした漫画です。

自然妊娠の減少にともない、一人っ子が多くなり、逆にキョウダイという存在が忌み嫌われるようになった世界。
そんなSFのような世界観のなかで、惹かれ合う兄妹・姉弟。まさに禁忌の恋。

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恋≠恋愛

この作品で扱われている”恋”とは、一般的な男女の恋愛ではないように思います。
作中に”キョウダイ同士は血の濃さから惹かれ合う”という設定があり、恋愛関係になっているキョウダイも登場しますが、そういった直接的な意味ではなく、もっと大きな意味でのキョウダイ愛というものがテーマになっているのではないかと。

それを端的に表しているのが最終話にある”兄弟”。
タイトルのままなのですが、”お兄ちゃんと弟”を扱った話で、
一言で説明するのであれば、兄が亡くなったことで実家に戻ってきた弟が、兄が慕っていた人物(男性)に同じように惹かれていくという話です。
BLというジャンルになるのでしょうが、離れて暮らしていても兄弟という血の強さをはっきりと感じさせてくれる作品になっています。

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母親という存在

また、この漫画で特徴的なのが”母親”。
この作品で、母親は”忌み嫌われるキョウダイを作ってしまった存在”として描かれています。
そのため、恣意的ではありますが、とても身勝手な印象を受け、後から生まれた子供は養子に出すというのが当たり前になっているという世界観を頭では理解していても、あまりにも身勝手すぎて辟易してしまいます。
先にあげた”兄弟”では、一度養子に出した弟を呼び戻し、あげく受け入れられず勘当するという鬼畜の所業が描かれています…

しかし、”三姉妹”という話で描かれている母親の”胎動に感動した”という言葉は、どの時代でも共通であり、
登場した母親たちも、母親としての喜びと世間体の狭間にたっていたのではないかと考えさせられます。
もっとも”三姉妹”に登場する母親の「育てることに興味が持てなかった」というのは別問題ですが…

普段は当たり前で気づかないキョウダイのあり方を考えさせてくれる一冊。
いかがでしょうか。

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