文学フリマ東京、お疲れ様でした/水上

今となってはもう随分と昔の話になる。タケミツがサークルで本を作って即売会に出そうと言い出したのは、いつのことだったか。盆休みにタケミツが帰省してきたときの居酒屋での会話だったような気もするし、あるいは正月休みだったかもしれない。当時のわたしは毎日飲んだくれていたせいなのか、その頃の記憶があまり定かではないが、考えてみれば飲んだくれているのは今も変わっていないので、実際のところ関係はないかもしれない。

ハイパーメディアデザイナーとして働くタケミツは、元々は書籍の装丁デザインをしたいと常々言っており、わたし自身としても自分の本というものを世に出したいという願望があったので、そうなることはある意味では必然だったのだろう。

わたしは日ごろから趣味で小説を書く人間でもあったので、文字を書くことはさほど苦にはならないだろう。また幸いにもこうして漫画をレビューするブログをやっているもの同士、題材には事欠かないはずだ。そんなことを考えていたのを憶えている。

思えばそれが間違いだった。
軽い気持ちで始めた書籍作りはテーマ決めの時点から既に難航を極め、最初は漫画や小説のレビュー、あるいは現代アニメや漫画に対する評論を座談会形式ででもやろうと言っていたはずが、二転三転した挙句、迷走を続けることとなる。

確かに面倒くさがって打ち合わせをサボったり、スカイプを繋いでもどうでも良い無駄話をして時間を潰したり、デレマスにドハマリしたせいで他事にまるで身が入らなかったりしたが、それだけでここまで話し合いが迷走するものなのだろうか? ものなんですよ?

最終的には短編小説を書くということに決定したわけだが、初めはタケミツも一本短編を書き上げるということだったはずが、あれよあれよと言う間に、いつの間にやら話は変わっていき、結果としてわたしが文章を、それ以外をタケミツが引き受けるという形で落ち着いてしまった。

小説と、いつもやってるレビューや座談会では自転車とセグウェイくらい労力が違うじゃないか! そもそもわたしの負担が重過ぎるのではないか? というわたしの主張は受け入れられることなく──いや、そんな主張をした憶えはないのだが。むしろノリノリで話を進めていたのはわたしだった──

その後も苦難は続く。
実家を出て引っ越しをしたり、仕事が忙しくなったり、その仕事を辞めて実家に出戻りしたり。「俺はまだ本気を出していないだけ、本気を出せば1日10万文字でも書き上げてみせるぜ」などと豪語しているうちに締め切りだけはどんどん迫り、軽いスランプに陥りまるで書けなくなった時期もあった。

今にして思えば、より完成度を上げるためにもっとできることがあったかと思うが、当時としてはわたしなりの精一杯を出し切ったつもりである。

そうして、そんな様々な紆余曲折を経て完成したものが、このたび5月4日の文学フリマにて頒布した短編、スイングバイミーであり、それを頒布したのが今回の文学フリマであった。

当日のことについては、できることなら忘れてしまいたい。が、そういうわけにもいかないので記す。

前日から東京入りしていたわたしは、久しぶりに会う友人と居酒屋に行き、そこで深酒をしてしまったらしい。「らしい」、というのは記憶がないからである。そしてしこたまアルコールを身に沁みさせたわたしは、帰り道で見事に潰れ、気が付くと翌日、文フリ当日の朝であった。

朝食を食べに入った喫茶店で、トーストを一口食べただけで戻してしまうほどの二日酔いは、東京モノレールに身体を揺さぶられたことでさらに激しさを増し、確かに空腹を感じてはいるのに身体は水分以外受け付けず、それでも1時間に一度はトイレに篭るような最悪の体調は、結局昼過ぎまで続くことになる。

従って、当日回る予定だったブースやあいさつ回りに行けなかったり、せっかくのイベントなのにいまいち覇気がなかったり、それどころかまともに自分のブースに座っていられなかったり、そういった諸々については全てお酒が悪いのであり、わたしには一切の非はないということをここに表明させていただきたい。ええ、本当に申し訳ございませんでした。もう飲みません、少ししか。

そんな状況にも関わらず、当日ブースには大勢の方が足を運んで下さり、思った以上に本を買っていただけたかと思う。
目の前で自分の書いたものを読んで貰えるというのは、恥ずかしくもあるがそれ以上に嬉しいことであり、このようなイベントに参加したことの無いわたしには新鮮な体験であった。
わたしの本を買っていただけた方々、お手にとっていただけた方々には心から感謝しています。わたしの本を読んでくださった方々の心に少しでも何か残せるものがあったのならば、これ以上の幸いは無いでしょう。

反省点は正直にって数え切れないくらいにあるが、全体を統括すれば、おおむね悪くは無かったかと思う。同じ創作者の方々や、読者の方々と触れることができ、自分の中での創作意欲も向上したことを感じている。できることならばそれらの反省を活かし、またいずれこうしたイベントに参加してみたいと、そう思っている。

もし貴方に、わたしの力不足を許容する寛大な心があり、今一度機会を与えて頂けるのならば、またこうした形でイベントに参加することがあった際には是非わたしたちの元へと足を運んで頂きたいと、心から願うものである。
そして禁酒。ゼンジツ、サケ、ダメ。

最後に、申し込みから設営・広報活動にいたるまで、殆ど全ての準備をしてくれ、また、わたしが死んでる間に、いろいろとやってくれていたタケミツ氏には心から感謝する。いや、ホントに。
タケミツ、ユウジョー!
 

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人が物語を読むのは、人生が一度しかないことへの反逆だ。 そんな言葉を言い訳にして、積み本が増えていく毎日。 Twitter:pooohlzwg