心の傷は飯で癒せ!阿部潤の『忘却のサチコ』

忘却のサチコ(5) (ビッグコミックス)

みなさんは、ストレス解消に何をしていますか?
このストレス社会、いつも通りに生活するだけで徐々にフラストレーションが溜まっていきますよね……
そして、ふとしたことがきっかけで溢れ出てしまう負の感情。。。
よほど精神が強い人でない限り、この増え続ける困難を避けて通るのは難しいと思います。

溜まったストレスは解消するしかない!

今回ご紹介する『忘却のサチコ』の主人公・佐々木幸子のストレス解消法は食べること

そうです。この作品はストレス社会に生きる現代人が、美味しいものを食べて辛い気持ちを忘却する漫画です。

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≠グルメ漫画

さきほど、美味しいものを食べて辛い気持ちを忘れると書きましたが、この漫画はグルメ漫画という位置づけではない気がします。

佐々木幸子、29歳。仕事は順調、結婚も決まり、完璧な人生を送ってきた。あの日までは…!!
美味しいものを食べた時に得られる“忘却の瞬間”を求めて、ありとあらゆる美食を追いかける!!
オンリーワンのグルメ・コメディー、開幕!!

そもそも、主人公のサチコが食に目覚めたきっかけは結婚式をドタキャンされたこと。
真面目で仕事第一で生きてきたサチコは、もともと食事が好きなわけではなく、むしろ食事の時間は必要ないとすら思っていました。

しかし、彼氏に逃げられたことは本人が思っている以上に傷が深く、仕事もいつものようにこなせない状態になってしまいます。
平常心を保っているつもりでも崩れていく生活……
そんななかで、彼女が溜まりに溜まったストレスを忘れることができたのが、町の食堂で食べたサバの味噌煮でした。

そうして彼女は彼氏に対する辛い気持ちを忘れるために、美味しい食事にのめり込んでいくのです。

純粋に食が好きというよりは、逃げるための食事。
グルメ漫画ではあまり見ることがない、ネガティブな動機です。

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食に興味のない人こそ読んで欲しい

しかし、誤解しないでいただきたいのですが、私はこの作品を悪く言いたいわけではありません。
むしろこの動機だからこそ、共感できる部分が多かったというのが率直な感想です。

本作で取り上げられているのは、人気店や話題店、最近流行っている料理ではなく、どちらかといえば、昔ながらの素朴な料理や地域の料理。
そして、それを嫌なことを忘れてしまうほど没頭して食べる主人公。
食によって救われたという純粋な気持ちが伝わってきます。

主人公・幸子の嫌なことを忘れたいという強い気持ちが、作品に登場する料理を本当に美味しそうに、そして食べるという行為を本当に素敵なものに感じさせてくれます。

また、本作では一般的にグルメ漫画で取り上げられるような、おいしい料理の調理法や店舗の情報が載っていないことも、主人公の純粋な気持ちをさらに強調しています。

『忘却のサチコ』は、本当に美味しいものを食べたいという芯の通った強い気持ちがひしひしと伝わってくる、非常にパワフルな漫画です。

このような描き方は、有益な情報が載っていないため、グルメな人にはあまり響かないのかもしれません。
しかし、もともと食に対する関心が薄い人には、この食に対するストレートな欲求が深く刺さる気がします。

そして、嫌なことを忘れてしまうほど美味しい食事、食べることの本当の楽しさを考えさせてくれること間違いなしです。

新しいストレスの解消法に食事を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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1巻完結の漫画を集めました。

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